1999-02-20
去年の暮れに歯の詰め物がとれてそのままにしていたのだが、最近奥歯の根元に黒い部分があるのも発見したので歯医者へ行くことにする。歯医者に行くのは10年ぶり。どこに行けばよいかわからないので、駅の近くで見かけたコギレイそうなところに行ってみることにする。歯科医というのは技能職で、技能はかかってみなければわからない。
その歯科医院は小さなビルの2階にある。ガラスの扉を開けて中に入る。ブランド名のついたスリッパを履いて、受付の女の子に保険証を渡す。自分のことで保険証を使うのは久しぶりだ。受付の女の子はピンクの白衣?の上に紺のカーディガンを着ている。問診表に記入する。天井のスピーカーから小さな音で音楽が聞こえる。80年代の静かな洋楽、ジョージ・ベンソンとかエルトン・ジョンとかだ。待合室のマガジン・ラックにあるのは、写真週刊誌とゴルフ雑誌と女性誌と地元のグラフ誌。
この前息子を連れて行った眼科の受付の女の子もピンクの白衣に紺のカーディガンだったのを思い出し、ピンクには紺の他に何が合うのか考える。明るいグレーだと存在感が希薄になるかもしれない。モスグリーンはカジュアル過ぎるかもしれない。えんじでは女性的になりすぎるかもしれない。色々考えて、紺色は医療機関に必要な落ち着きを醸し出しているという結論になった。
15分程で名前を呼ばれる。治療台が3つ並んでいて、3つとも南側の大きなガラス窓に向いている。明るくて気持ちがいい。窓際には観葉植物が置いてある。相変わらず80年代AORが流れている。ここには懐かしい80年代的な快適さが保存されているようだ。80年代的快適というのは「確かに快適は快適だけど、そのうちに飽きてしまって刺激を求めてバブルに突入する」というようなものだったのかな、と思う。隣で治療が済んだおばあさんが「先生、本当にどうもありがとうございました」と丁寧にお礼を言っている。
歯医者は40歳くらいに見える。わりとハンサムである。「この黒いのは歯石ですね。歯石というのは、鼻クソみたいなもんです」などと言う。X線撮影の結果、上の2本の親知らずが元々無いということが分かる。歯石をとり、詰め物がはずれたところを少し削った後で型どりをして、応急的に樹脂を詰める。帰り際に「お大事になさって下さーい」と言うのがここの決まり文句のようだ。
歯医者を出て本屋へ寄り「奥田民生、別注武運」と「松本坊主」を買う。家に帰って昼食に焼きビーフンを作る。冷蔵庫を漁ってタマネギとピーマンと三度豆を発見し、タマネギとピーマンを細く切ってピーマンだけ軽く下茹でしてから全部を炒める。ケンミンの焼きビーフンを入れて水を入れて蒸し焼き。イギリスの5つ星ビールというのを飲みながら食べる。うーん、このビールは香りはいいけど味がハード過ぎる。旨みというもんがあんまりないやんか。ほとんどスコッチウィスキー。却下。
コーヒーを飲みながら「奥田民生、別注武運」を読む。奥田民生が弾いているレス・ポールは450万もしたんだそうな。印象に残ったライブハウスは「磔々」か。蔵を改造したライブハウス。僕も学生時代に出たことがある。懐かしの80年代。楽しかったなあ。ライブやりたい。
夜、息子と「ウルトラマンガイア」を見る。最近、一話完結じゃなくなって面白くなってきた。でも、ちょっと登場人物の多くが深刻過ぎるなあ。女の子の戦闘チームは明るくて化粧も濃いけど、やっぱり力み過ぎだしな。それに較べて「ティガ」のダイゴも「ダイナ」のアスカも緩急があって良かったな。
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