日記
1999-06-30


会社でCAD用ワークステーションの前に座っていると、たて続けにくしゃみが出た。雨の日は冷房が効きすぎるのだ。鼻が詰まって頭も少し痛くなる。なんで夏に寒い思いをせなあかんねん! 僕はあまり冷房が好きじゃない。

昼に外に出てみると、雨が止んで日が差している。湿度が高いので爽やかとは言えないが、冷房で凍えているよりずっと気持ちがいい。空には小さな入道雲が見える。歩きながら折り畳み傘を伸ばした状態で日に当てていると、だんだん乾いていくのがわかる。7、8分歩いたところにある小さなレストランに入る。

すぐそばに女子大があるので昼は混んでるかと思ったが、いくつかあるテーブルのうち半分も埋まっていなかった。誰もいないカウンターに座る。黒板にチョークで書かれた「マグロのカルパッチョ¥600」に心が動くが、それだとワインも飲みたくなるのでやめておく。今考えると、飲んでも良かったかな。ともかく、店の前に書いてあったパスタセットというのを頼んでみた。

カウンターの向かいは窓になっていて、窓際にCDが30枚くらい並んでいる。「playing」と表示された台にニール・ヤングのCDのジャケットが置いてあるので、今かかっているのが奥田民生の好きなニール・ヤングだとわかる。何年か前の夜に来た時はボブ・マーリーがかかっていた。

本を読みながら待っていると、ミネストローネと、トリとキノコと茄子とパンのアンチパストと、アサリのスパゲティが順番に運ばれてくる。料理と料理の間も本を読んで待つ。アンチパストもパスタもオリーブオイルの香りが良くておいしかったが、パスタの量は控えめだ。女子大生向けか。フォークだけを使ってアサリの身を貝殻から外す方法を発見する。身を押さえつけたままでフォークをクルッと回すだけ。

料理を運んでくれた女性がカウンタの内側でお皿を洗ったり電動ミルでコーヒー豆を挽いたりテキパキと働いている。水道の栓を閉める時にキュッと歯切れよい音がする。彼女は白いサマーセーターの上に紺のエプロンをして背筋がピンと伸びている。髪をポニーテールにしていて、耳たぶに小さなピアスを付けている。彼女がCDを交換する。今度もニール・ヤングだった。最後にシェフ自らがコーヒーをいれてカウンタに乗せてくれる。深煎りのおいしいコーヒーだった。これで千円は安い。

店を出て世界最大の古墳の前を歩く。高さはビルの5階くらいだが、面積はクフ王のピラミッドより大きいのだ。ちょっとした丘である。これだけの土をどこから運んだんだろうと考える。すぐに答が判った。周りの濠を掘った分の土を盛ったのだ。古墳は鬱蒼とした森に覆われている。今は立ち入り禁止だが、江戸時代には誰でも出入りできるハゲ山だったのだそうだ。このあたりの土地は人間がいなければ100年くらいで全てがあんな森になるのだろう。
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